福岡県産業デザイン協議会特別講演

「商品づくりに大切なもの」福岡産業デザイン協議会 特別講演を聞いて

昨日、福岡産業デザイン協議会の特別講演に行ってきました。今回は、僕も以前、北九州で一度お会いさせて頂いた事のある有限会社セメントプロデュースの金谷さん。地方のメーカーの再建をデザイン側から行なっている凄い人です。

どういう仕事かというと、地方のメーカーから依頼を受け、経営者と共に企画やリサーチ、商品開発やデザイン流通までを提案し、物を作るだけではなく、市場と向き合い、価格や流通などもきちんと考え実行する取り組みをされています。

既存の工場と商品が活きる商品開発

個人的に思う金谷さんの凄さは、市場理解や、コスト感覚、流通への理解と、商品を自分の手で作り自ら販路先を実践して作ってきた点で、明らかに綺麗なものを作るだけのデザイナーとは確実な違いがあります。商品は、作り手と買い手の設計ができていれば、つまり販路先がきちんとあればメーカーは安心するのです。

私も、ブランドプロデューサーを名乗る人に出会ったこともありますが、お金やノウハウがないなか商品をつくり、卸に商談しに行き、リスクを背負い、やっている人はなかなかいません。 金谷さんの話を聞くたびに、自分も大阪のメーカー時代、大手の通販会社に商談に行ったこと、先輩デザイナーと卸の会社に商談をしに行ったこと、中国に生地を探しに1日中歩き回ったこと、商品企画がうまくいかず悩んだこと、やっと商品企画が売れ始めたこと、色んなことを思い出します。


デザインは、魔法ではない。

デザインを使えば、こう儲かるの道筋を作る

講演の中では「デザインは、魔法ではない」とおっしゃっていましたが、デザイナーであれば一度は思う事で、依頼者側であれば、デザイナーに期待している事だと思います。これはですね、個人的な解釈ですが、売れないと、デザインや商品のせいにしたくなるんです。 例えばこんな感じです。

商品が売れない→売れるには洒落たデザインが必要→デザイナーに依頼→綺麗なデザインができる→対して売れない→デザインのせい

といった負のスパイラルです。

行動したのに売れなかったら、それはデザインのせいにしたくなるのは当たり前だと思います。ですが、デザインへの誤解だったり、デザイナーへの依頼の仕方、デザイナーの仕事のスタンスがうまく噛み合わないと、だれでもこの負のスパライルになります。

これは、webの業界も一緒です。綺麗なwebサイトを作るだけでは、経営者の自己満足になります。デザインは魔法ではないので、ただ綺麗にインパクトのある見た目だけのデザインに変えても結果は変わりません。問題は、デザインではないからです。

ではどこに問題があったのかは、「分解」してみないとわかりません。まずは、「市場の分解」です。現状の市場がどうなっているか、目指したい市場がどんな形成になっているか。 そして「商品の分解」についても同じです。強みはどこにあるのか、素材はどんなもので、どんな特性があるのか、誰に向けているものなか「売れた商品」はどこがよかったのか、「売れない商品」はなにが悪かったのかなどをさらに分解する。「市場」「生産」「流通」に置いて細かく分解し、飽和しているのであれば、技術で他の市場にいくのはどうなのかなど、分解する事で検討できそうなことはあります。

それに、デザイナーへの依頼の仕方がわからない場合は、ただ言われたものを作るだけのデザイナーに将来を託すのはやめたほうがいいです。 それは、デザイナーが悪いのではなく、デザイナーの仕事の取り組み方が違うだけなのです。デザイナーでも、仕事のスタンスは十人十色です。きっちりと市場を分析するノウハウや、流通への理解、なんでもできますと言わず、あえて自分に厳しいデザイナーの方がしっかりと考えています。

15のステップマニュアル


さいごに

私の現在の業界(web業界)や今後、進んで行こうと思っている業界(テクノロジーが活きる業界)に置いても、仕組みはあまり変わりないように思います。企画・流通・生産を考えられていないものは、ニーズがなく自己満足に陥りやすく、WEBサービスなどはすぐに淘汰されて行きます。プログラマーが作るwebサービスがニーズのないものに陥りやすいのも、結局は技術志向が強く、この3点(企画・流通・生産)を意識できてないものが多くあるからなのかもしれません。かと行って、スモールスタートできないのも痛いとところあるかとおもいます。私自身も、メーカーでの経験、webの制作技術、テクノロジーや未来が好きであることなどの点を線にできるよう今後も前に進んで行きたいと思います。

松井 貴史
顧問・パートナー型の受託専門WEBデザイナー兼ディベロッパー。UXUI改善運用からWEBシステム開発までワンストップで提供しています。自身でもデザイナー発!個人開発者として日々の気づき、アクション、考え、ノウハウをTwitterで発信中。オンラインゲームSAKETUMA開発

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